【2016/(佐賀・有田)】有田焼の次の100年を担うグローバルに通じる普遍的な器
有田焼生誕400年の2016年に、次の100年の物語を紡ぐために16の窯元・商社と、8か国16組のデザイナーが集まってスタートした新ブランド「2016/」。時代の変化に対応すること、なかでもグローバル化が重要だと捉え、海外のデザイナーとコラボレーションして新たな視点で有田を再解釈した。歴史と技術を継承しつつ、新たな感性を融合させ、世界の日常に寄り添う普遍的な器を創り出した。
例えば、2016/全体のクリエイティブディレクションも手がける柳原照弘は、これまでは失敗とされてきた釉薬のムラを肯定し、その表情を活かした日常に使えるテーブルウェアをデザイン。オランダのカースティ・ヴァン・ノートは、ふだんは廃棄される不純物を多く含む陶石から、美しい色合いの陶土を開発し、独特の色彩と素材感を強調するシンプルなフォルムの器を制作し、スウェーデンを代表するデザイナー、インゲヤード・ローマンは有田の高度な生産技術を応用し、重ね合わせることでより美しさが強調される磁器のコレクションを創り上げた。有田市にある「2016/ショップ」は、全16組のデザイナーの作品を揃えるギャラリー&ショップ。カフェとしても利用可能で、コーヒーを飲みながらゆっくりとお気に入りの器を選ぶことができる。
2016/ショップ(2016/ SHOP)
佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351-169
Tel./0955-42-2016
https://www.2016arita.jp/
【山田松香木店(京都)】平安から伝わる文化を守りながら、現代の生活に寄り添う香りを追求
平安時代より続く香りの文化を正統に伝承し、江戸時代の創業以来、天然香料にこだわった商品を製造・販売する「山田松香木店」。香木とは、伽羅、沈香、白檀などを指し、特に伽羅は⾮常に複雑で多層的な香りを持つ樹木で、その価値は⾦にも匹敵する”樹木の宝石”だ。山田松香木店は、香木専門店である強みを生かし、鑑定力に絶対的な評価と信頼を得ている老舗だ。京都御苑の出水口の近く、室町通に面した京都本店は、香と書かれた黄色の暖簾が目印。店の奥の壁一面を覆う香木箪笥には400個もの引き出しがあり、漢⽅薬に使われる薬種も含め、香りや用途によって分類された香木や香原料が収められている。
店内には香りにまつわる昔ながらの商品に加えて、身を清めるために使われてきた塗香(ずこう)を基に考案したハンドクリームやソリッドパフューム、スイッチ一つで香りを楽しめる電子香炉、薬種を使用したハーブティーなど、現在のライフスタイルに合わせた商品も並ぶ。伝統的な手順に従って5種類の香木を聞き分ける源氏香や、好みの天然香料を調合して自分だけの香りの匂い袋作りや煉香を作る調香など、日本の香り文化を身近に感じられる体験講座も開催している。
山田松香木店 京都本社
京都府京都市上京区勘解由小路町164(室町通下立売上ル)
Tel./075-441-1123
https://yamadamatsu.co.jp/
【中村藤𠮷本店(京都・宇治)】最高の品質の日本茶を通して特別な時間を届ける
鎌倉時代に臨済宗とともに茶文化を広め、茶祖とも言われた栄西。その栄西から、茶の種を授かった京都・高山寺の僧、明恵が、より良い産地を探すうちに宇治にたどり着いたのが、宇治茶のはじまり。紫式部が源氏物語の最後の舞台にも選んだ宇治は、貴族たちにとって祈りと癒しの地であり、同時に滔々と流れる宇治川によって、茶の栽培に適した湿度にも恵まれていた。江戸時代末期の1854年、その宇治の地に初代・中村藤𠮷が茶商「中村藤𠮷本店」を創業して以来、170年間茶業を発展させてきた。老舗のこだわりは、露地栽培による清々しい清涼感にあふれた煎茶、手間暇をかけた覆下栽培による重厚な旨みを含む玉露など、手仕事でしか生むことのできない日本茶だ。
中村藤吉に脈々と受け継がれるのが革新の精神だ。明治時代に2代目藤𠮷が茶臼の自動化に成功して特許を取得。2001年には6代目藤𠮷が、製茶工場を宇治茶と抹茶のスイーツが楽しめるカフェに改装した。現在、抹茶の原料である碾茶を茶臼で挽いたり、一般には非公開の茶室で茶席に参加できたり、特別な時間を過ごすことができる体験プランを提供中。茶道の心得がなくても、気後れすることなくお茶の世界に触れることができる。